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“毒舌モリッシー”も最初はただのスティーヴンだった
1980年代、痛烈な言葉と独特の音楽性で、イギリスのミュージックシーンを席巻した伝説のバンドザ・スミスのフロントマン、スティーヴン・モリッシー。1976年マンチェスターで学校をドロップアウトした彼が、ライブハウスに通いつめバンド批評を投稿する日々の中で、出会いや別れ、苦悩と挫折を乗り越えて、ミュージシャンとしてのアイデンティティを確立するまでを描いて、2017年エジンバラ国際映画祭クロージングほか、世界各国の映画祭に出品され高い評価を受けた話題作が、いよいよ日本で公開される。
負けそうになりながらも自らの道を歩む
若き日のモリッシーを演じるのは『ダンケルク』のジャック・ロウデン
皮肉屋でコミュニケーションが苦手、音楽への情熱は人一倍なのにどうして良いかわからず苦しむ、若き日の多感なモリッシーを演じるのは『ダンケルク』のコリンズ役で一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たしたジャック・ロウデン。モリッシーの才能を見抜き後押しするアーティストの卵、リンダー・スターリング役には「ダウントン・アビー」シリーズのジェシカ・ブラウン・フィンドレイ。職場の同僚でモリッシーを誘惑するクリスティーン役には新作ドラマ「キリング・イヴ/Killing Eve」で暗殺者ヴィラネル役に大抜擢されたジョディ・カマー。今まさに旬のスターが競演し、1970年代を代表するニューヨーク・ドールズ、ロキシーミュージック、セックス・ピストルズ、モット・ザ・フープルほか様々なアーティストの楽曲で彩られた、困難な状況にも“夢”を、“自分”を諦めずに前に進む姿に勇気をもらえる珠玉の青春“音楽”映画が誕生した。本作に加えて、ザ・スミスの解散を知った4人の若者のある一夜を描く2019年完成予定の映画『Shoplifters of the World(原題)』も製作されるなど、いまなお愛され続けるザ・スミスと、関連書籍の発売も相次ぎ、5月24日には新作カバーアルバムも発売、精力的な活動でアーティストやファンの心を魅了し続けるモリッシーから目が離せない。
人生で一度だけの大切な望みを叶えたいんだ。
1976年マンチェスター。学校をドロップアウトしたスティーヴン・モリッシーは、ライブに通っては批評を音楽紙に投稿するだけの毎日。家計を助けようと就職しても職場に馴染めず、仕事をサボって詩を書くのが唯一の慰めだった。そんな時、美大生のリンダーと出会い、彼女の後押しもあってバンドを組むことになる。初ライブは成功、スティーヴンはミュージシャンになろうと仕事を辞める。しかし順調に思えた彼を待ち受けていたのは、別れや挫折だった。1982年、それでもあきらめずに音楽を続けるスティーヴンの元に1人のギタリストが訪ねてくる。それは、のちに彼と「ザ・スミス」を結成するジョニー・マーだった。
スティーヴン・パトリック・モリッシー
リンダー・スターリング
スティーヴンの父ピーター
スティーヴンの母エリザベス
スティーヴンの姉ジャッキー
アンジー・ハーディー
ビリー・ダフィー
ジョニー・マー
同僚:クリスティーン
上司:Mr.レナード
同僚:ゲイリー
同僚:ダレン
職業安定所員
ジャック・ロウデンJack Lowden
スティーヴン・パトリック・モリッシー/Steven Patrick Morrissey役
1990年6月2日チェルムスフォード生まれ。英国王立スコットランド音楽院卒業。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、いま最も注目される実力派俳優の一人。幼い頃から舞台に出演していたが、2009年に清涼飲料アイアンブルーのハイスクール・ミュージカルを模したCMに出演してブレイク。スコットランド音楽院在学中の2010年にスコットランド王立劇場の演劇「Black Watch」に主演。舞台版「炎のランナー」(12)では宣教師エリックを演じて賞賛され、2013年にはイプセンの「幽霊」で演じたオスヴァル役で、ローレンス・オリヴィエ賞最優秀助演男優賞とイアン・チャールソン賞を受賞した。同年『U Want Me 2 Kill Him?』でスクリーンデビューを果たしていたが、2016年からはサム・ニールと共演した『Tommy's Honour (原題)』(16)、『A United Kingdom(原題)』(16)、『肯定と否定』(16)、『Battlefield 1』(16)声の出演、テレビ映画「The Dreams of Bethany Mellmoth」では、『ボヘミアン・ラプソディ』のルーシー・ボーイントンと共演するなど、積極的に映像作品に出演するようになる。2017年に本作『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』の主演に起用され、クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』のパイロット、コリンズ役ではハリウッドスターの仲間入りを果たした。2018年『最悪の選択 CALIBRE』(ネットフリックスオリジナル映画)に主演、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(18)では、メアリー・スチュアートの2番目の夫、ダーンリー卿を演じた。2019年2月全米公開の、WWE入団に挑戦するプロレス一家の実話を元にした『Fighting with My Family(原題)』では主人公の兄でプロレスラーのザック役に挑戦するなど、次々と演技の幅を広げ続けている。待機作は『ダンケルク』に続きトム・ハーディと共演する『Fonzo(原題)』他。
ジェシカ・ブラウン・フィンドレイJessica Brown Findlay
リンダー・スターリング/Linder Sterling役
1989年9月13日バークシャー生まれ。ロンドン芸術大学・セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ出身。15歳の時にロイヤル・オペラ・ハウスに出演するほどのバレリーナだったが、故障によりバレエを諦め演技の道を選んだ。2011年『Albatross(原題)』でスクリーンデビュー、同年に人気ドラマ「ダウントン・アビー」の三女シビル役に抜擢され世界的なスターになった。「ダウントン・アビー」をシーズン3で降板してからは精力的に活動しており、コリン・ファレルの相手役を務めた『ニューヨーク 冬物語』(14)、ダニエル・ラドクリフと共演の『ヴィクター・フランケンシュタイン』(15)、主演作『マイ ビューティフル ガーデン』(16)、本作『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』(17)など映画出演が多数。2015年からは舞台にも挑戦し、ロバート・アイクの「オレステイア」(15)、「ワーニャ叔父さん」(16)、現代版「ハムレット」(17)ではアンドリュー・スコットと共演しオフィーリアを熱演した。2019年は主演のファンタジー映画『Iris Warriors(原題)』、同じく主演でショーン・ハリスと共演するホラー『The Banishing(原題)』の公開と、米Huluオリジナルドラマ「Harlots(原題)」(17〜)シーズン3の放送が控えている。
ジョディ・カマーJodie Comer
クリスティーン/Christine役
1993年3月11日リバプール生まれ。2008年に医療ドラマ「The Royal Today」の端役でスタートした彼女は、2011年テレビシリーズ「Justice」のシャーナ役で初めてレギュラーを獲得、「リメンバー・ミー 水底の女」(14)のハンナ役でその美貌を印象付けることに成功した。その後は「女医フォスター」シリーズ(15〜)、テレビドラマ「チャタレイ夫人の恋人」(15)などを経て、ミニシリーズ「13 サーティーン/誘拐事件ファイル」の13年間監禁されていた少女アイビー役で初主演を果たし、2017年本作『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』に出演したのち、「キリング・イヴ/Killing Eve」(18〜)でサンドラ・オー演じるMI6のエージェント・イブの命を狙う、美しき暗殺者ヴィラネル役に大抜擢された。2019年は「キリング・イヴ/Killing Eve」シーズン2の放送、ライアン・レイノルズ主演のアクションコメディ『Free Guy(原題)』のヒロイン役、ケネス・ブラナー監督『ナイル殺人事件』リメイク版への出演が決まっている。
シモーヌ・カービーSimone Kirby
スティーヴンの母/Elizabeth Morrissey役
生年月日非公表。アイルランド生まれ。2005年アイルランドのテレビシリーズ「Pure Mule」でデビュー。テレビを中心に活動を続け、ケン・ローチ監督『ジミー、野を駆ける伝説』(14)のウーナ役で高評価を受ける。その後も『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(16)や、本作『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』(17)などの出演で着実にキャリアを重ね、アイルランド独立戦争を描いたネットフリックス・オリジナルドラマ「リベリオン」シーズン2(19)では、情報戦で重要な役割を担うウルスラ役を熱演している。その他、2019年はディズニー大作の『アルテミスと妖精の身代金』と、アイルランドが舞台の『Calm with Horses(原題)』が公開予定。



監督・脚本:マーク・ギルMARK GILL
マンチェスター出身。本作『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』(17)が長編デビューとなるマーク・ギルは、デイヴィッド・ミッチェルの小説「ナンバー9ドリーム」(新潮社)の一部を映画化した、マーティン・フリーマンとトム・ホランダー主演の短編映画『ミスター・ヴォーマン』(12)で、第86回アカデミー賞®短編映画賞、英国アカデミー賞短編映画賞にノミネートされ、世界各国の映画祭で数々の賞を受賞している。そのほかの監督作品は『Full Time』(13)短編。現在、ジェームス・スマイスの小説「The Testimony」を原作とした映画『THE BROADCAST』を準備中。
スミスの楽曲は一切使われていないですけど、これがスミス、モリッシーなんだと叫んでしまいました。謎に包まれたモリッシーがモリッシーと成っていく姿が観れるなんて、夢にも思わなかった。アーティストに成りたい人は絶対必見です。
久保憲司
フォトグラファー、ライター
★とびきりの才能があれば、ポール・マッカートニーにはなれるかもしれない。しかし、とびきりの才能があっても、モリッシーには(絶対に!)なれない。――さながらザ・スミスの初期曲のごとく、比類なき哀感を湛えたこの映画を観ながら、そんな思いが脳裏をよぎった。
桜井鈴茂
小説家
恋や友情は青春映画のエッセンスだが、そこにたどり着くまでに時間を要する青春もある。誰かがドアを開けてくれるのを待つだけの日々に傷つき疲れ果てたとき、彼は他人の家のドアを叩く。出発点に過ぎないが、彼にとっては大きな飛躍。負け犬だが、負けたままでは終わらない。そんな”最初の一歩”にフォーカスした青春映画の快作!
相馬学
フリーライター
”うじうじスティーヴン”から”モリッシー”への道のり。それは、初期マンチェスター・パンクの人脈の縮図そのもの。パンクマニアは、もう一つのストーリーを垣間見ることができるに違いない。この映画を見ていたら、1980年にロンドンのマーキーで観たロンサム・ノー・モアの名前が出てきて、びっくり。
TAYLOW
the原爆オナニーズ
私がモリッシーに魅了されて、写真を撮り続けたのは、ザ・スミスがデビューして間もない頃だった。切り花が敷きつめられたステージで、彼が放つ光は眩しく、自己を表現する事に憂いを感じていたように見えた。殺伐としたマンチェスターで生まれた、多感な時代を生きるノーザンイングリッシュソウルはあまりにも美しい。
Romi Mori
フォトグラファー/ミュージシャン(ロンドン在住)
誰よりも皮肉で、誰よりも天邪鬼な、もしかして誰よりもイギリス人なモリッシーなくて今のイギリスの音楽は語れません。彼がいなければ90年代から先のモンスターバンドは生まれてない気がする。"影の王様"の若き日々に是非共感してほしい。
ハリー杉山
タレント
こんなに軟弱な主人公を見たことがない! マンチェスターには雨ばかり降るし、いつまでたっても自意識過剰で冴えないうえに、陽の目を見ない。挫折、挫折、雨、挫折。でもだからこそ、モリッシーが書く詩は美しく切実なのだ。
犬飼孝司
週刊SPA!編集長
自分の方がましだ…モリッシーに失望。 他者の評価で自分を保ち、 自ら動きもせず、ただ何かを待ち、世界を愚痴る。 こいつ嫌いだ…でも共感したからこそ。 “何物かになりたい…けど”のもがきは、永遠に続く若者の特権だ。 そのまま描いたのには驚いた。映画にした事に。 共感した自分に厭きれ切ったら、さぁ動き出そう!
清水崇
映画監督
オレ以外は、全部ばか。それほど自信家なのに、不安だらけ。 若さとは、どれだけやっかいだったかを思い出して切ない。 聴けば胸がざわつく音楽に乗せて、やがて輝く原石の物語!
石川三千花
イラストレーター
憧れの作家や音楽家からの霊感は言うまでもなくありふれた別れから、家族との不和から、暗く湿った狭い路地や、墓地、屋上から見渡す街並み、馴染めない同僚や上司から、鏡に映る何者でもない自分自身から、何を感じるか。誰もが気にも留めず、やり過ごし、見過ごしてしまうものと向き合うなかで、言葉が生まれることもある。そして、それが“詩”に生まれ変わる瞬間、そこには“決断”がある。胸を焦がすものだけで満たされた小さな王国をポケットに、彼は外の世界へ出ていく。グラジオラスの種のように小さな彼の“決断”は、その後世界を変えることになる。僕はこの映画を観た帰り道、ふと、自分の周りを見渡した。
小林祐介
THE NOVEMBERS